広陵町三吉にある巣山古墳は、馬見古墳群の中で最大の規模を誇る国指定特別史跡です。町の身近な風景の中に、約1600年前の巨大な王墓が残っています。
巣山古墳はどんな古墳?
巣山古墳は、鍵穴のような形をした前方後円墳です。前方部を北に向け、墳丘の全長は約220メートル。後円部は直径約130メートル、高さ約19メートル、前方部は幅約112メートル、高さ約16.5メートルあります。
築かれたのは4世紀末ごろ、古墳時代中期の初めと考えられています。大きさや埋葬施設、豊富な出土品から、この地域を治めた有力な王の墓とみられています。ただし、埋葬された人物の名前は分かっていません。
どれくらい大きいの?
全長約220メートルは、一般的な陸上競技場の直線部分よりも長い規模です。地上から見ると森や小高い丘のように感じられ、一目で古墳全体の形を捉えるのは簡単ではありません。
巣山古墳は、奈良盆地西部の馬見丘陵に広がる「馬見古墳群」の中心的な古墳です。近くにはナガレ山古墳、乙女山古墳、新木山古墳などがあり、この一帯が古代の重要な地域だったことを物語っています。
船や埴輪が教えてくれる古代の世界
発掘調査では、前方部の西側に「出島状遺構」と呼ばれる張り出した場所が見つかりました。その周辺から、水鳥、家、盾、蓋(きぬがさ)、囲い、柵などを表した多彩な埴輪が出土しています。
周濠の北東部からは、木造船の部材も見つかりました。人や荷物を運ぶための構造を持つ「準構造船」と呼ばれる船で、亡くなった人物を運ぶ儀式に使われた可能性も考えられています。古墳が墓であるだけでなく、大切な儀式の舞台だったことを想像させる発見です。
ほかにも、勾玉や管玉などの玉類、腕輪形の石製品、滑石で作られた小さな刀や斧などが知られています。これらの品々から、古墳に葬られた人物の大きな力や、当時の技術の高さがうかがえます。
なぜ「特別史跡」なの?
巣山古墳は1927年に国の史跡となり、1952年には文化財の中でも特に価値の高い「特別史跡」に指定されました。馬見古墳群を代表する大規模古墳であり、墳丘や周濠、埋葬施設、出土品から古墳時代の社会を考えるための重要な手がかりが得られるためです。
現在も、古墳を守りながら次の世代へ伝えるため、保存整備と調査が進められています。私たちが現地で目にする景色も、長い年月をかけて守られてきた文化財です。
見学するときに大切なこと
巣山古墳は公園の遊歩道のように墳丘内を自由に歩ける場所ではありません。遺構を守るため、墳丘への一般の立入りは制限されています。外堤や周辺の道路など、見学できる場所から静かに眺めましょう。
周辺は生活道路や農地でもあります。路上駐車、私有地への立入り、大声での会話などを避け、ごみは持ち帰ります。発掘調査や整備によって見学できる範囲が変わる場合があるため、現地の案内表示を優先してください。
所在地とアクセスマップ
特別史跡 巣山古墳(奈良県北葛城郡広陵町大字三吉)
Googleマップで開く →周辺も一緒に歩いてみよう
巣山古墳の近くには、遊具や広場がある竹取公園、竹取の翁とのつながりが伝えられる讃岐神社、季節の花と古墳を楽しめる県営馬見丘陵公園があります。少しずつ立ち寄れば、遊び・物語・古代史が一つの地域に重なる広陵町らしさを感じられます。